「カットボール」で繰り返し遊び、すっかり的球をポケットする楽しさに魅了されたハルヒくん・ユイちゃん・ヒカルくんの3人。よく行くビリヤード場では、どうやら上手な常連さん達はいつも「ナインボール」をしているらしいということに気付きます。自分たちもやってみたくなって、ニューアートの店員さんに遊び方を聞いてみました。
(ショールームで売られている本を見ながら)このビリヤードガイドブックに載ってるかな……?
ネットで検索した方が早くない?
おや、みんな、どうしたの?
あ、こんにちは。最近ビリヤード場に何度か行っていて気付いたんですけど、上手い人達って的球を9個だけ使ってゲームをしていて……
ブレイクショットの後、1番から番号順に入れて行って、最後9番を入れたら、ラックを組んでまたブレイクをして……
それを繰り返してるんです。あれがナインボールなのかなって。
それがナインボールだよ。世界的に普及していて、国内外のポケットビリヤードの試合の大半はナインボールで行われている。だから、普段から「相撞き」(あいづき。試合以外で1対1で撞くこと全般を指す)でも定番ゲームになっている。
僕らにはまだ試合なんて早いと思うんですけど、見てたら面白そうだなって、やり方を調べようと思ったんです。
なるほどね。ナインボールのルールはシンプルでゲーム性はちょっとスリリング。試合に出る・出ない関係なく人気だし、皆でやってみたらいい。「バンキング」またはじゃんけんで順番を決めて、先攻の人が「ラック」を組んで「ブレイクショット」をするという流れは、前々回に教えた「カットボール」とだいたい一緒。基本的には1対1でやるゲームだから、3人でやるなら1人は休憩したり、「勝ち残り式」にして9番を入れた人がテーブルに残って、負けた人が交代するのでもいいと思う。
上手い人達は1対1で長い時間やってるみたいですけど、どういうルールですか?
だいたい皆、「◯点先取のセットマッチ方式」だね。例えば、5点先取なら、どちらかが先に9番を5回入れたら勝ちだ。略して「5先(ごさき)」と言ったりもする。2人で「今日は5先を3回(3セット)やりましょうか」なんて話し合って決めることが多い。ビギナー~初級者だったら2~3点先取、中級者なら4~5点先取、上級者やプロなら7~9点先取が多いかな。
オレらなら2先とか3先ですね。上級者はそんな長い設定で戦っているのか。的球をポケットする力があるから、どんどん進むのかな。
その通り。上級者同士のナインボールは、どちらかがミスなく複数の的球を連続で取り切って行くことが多いから、1ラック(1ゲーム)が早く終わる。そして、このセットマッチ方式のいいところは、ハンデ戦がやりやすいところ。例えば、君たちの誰かが中級者と1対1でナインボールをすることになったら、3-5のセットマッチ、つまり、3点先取 vs 5点先取でゲームができる。時間がない時は2-4とか2-3でもいいね。実際、多くのビリヤード場の「ハウストーナメント」はこういうハンデ戦で行われているよ。
ハンデ戦だとしても、上手い人とナインボールをやるのは勝てる気がしないし、緊張しそうだなぁ。
上手い人とゲームをすると全然ターンが回って来なさそう。それは楽しくなさそうじゃない?
はははは。たしかにそういうこともある。だから、あまり勝敗は気にせず、上手い人のフォームや撞き方、ボールの動かし方なんかを間近でたっぷり見ておくといい。撞き終わった後に質問をしてみてもいいね。そして、後で真似してみると上達に役立つと思うよ。上級者だって皆かつてはビギナーだったんだし、熱心なビギナーに見られてイヤな気持ちになる人はいないよ。
ビギナーでもナインボールで良い勝負ができるコツってありますか?
まだまだ皆フォームも固まっていないし、的球の狙い方や手球のコントロールは見様見真似だと思うから難しいことは言えないけど、まずナインボールの原則である、「テーブル上の最小番号のボールに一番初めに当てる」ことは徹底しよう。たとえシュートが狙えない的球や隠れている的球でも、確実に手球を当ててセーフを取っておけば、チャンスがまた巡って来ることが多い。逆に言えば、ファウルは避けようってことだね。
ああ、ファウルをすればするほど、相手にフリーボールのチャンスを与えてしまうから……
そう。ビギナー~初級者のナインボールは、7番8番9番あたりのハイボールで、スクラッチ(手球をポケットに入れること)をしてしまったり、空クッションでのノーヒットファウル(的球に当たらないこと)で決まってしまうことが多い。あと、もう一つコツを思い出した。カットボールの回で話した内容そのままだけど、「ポケットの穴前や穴の近くある的球はできる限り確実にシュートすること」。そして、「難しい球は一応ポケットに狙うけど、しっかり強く撞いてラッキーインを期待するのもアリ」。
出たー、運頼み!
ナインボールもラッキーショットが有効なゲームだから、ビギナーのうちは運頼みも恥ずかしいことじゃない。むしろ中~上級者は、ぐいぐいキューを出してくるビギナーほど怖いものはないと思っているよ(笑)。「フロック(ラッキーショット)で9番が入りそうでヒヤヒヤする」ってね。ちなみに、今回は詳しく紹介できなかったけど、上級者が好む「テンボール」というゲームもあって……
知ってます。的球を10個使うんですよね。
うん。基本ルールはほとんどナインボールと同じで、ブレイクショットの後、1番から番号順に入れて行って、最後10番を入れたら1点というゲーム。テンボールも公式大会があって人気なんだけど、ナインボールとの大きな違いは「ラッキーショット不可」だということ。「どのポケットに何番を入れる」かを指定(コール)しなければいけないんだ(※実際は狙いが明らかな場合はコールをしなくていいという「ジェントルマンズコール」で行われている)。
僕らがテンボールをやるのはずっと先のことだから大丈夫っすよ。よーし、しっかりキューを出してナインボールをやりますか~。
それでスクラッチしまくってくれることを期待してるよ。自滅待ち作戦だ。
性格悪っ(笑)。